「佐野元春 30周年アニバーサリー カフェ・ボヘミア2010」のトークイベント『佐野元春×駿東 宏さんによるトークショー「80年代、音楽とアート」』に参加してきました。
会場はリキッドルーム2階にある
Timeout Cafe
駿東 宏さんは、日本を代表するアートディレクター。元春との最初の仕事は「ELECTRIC GARDEN #2」。
元春は冒頭でそれを忘れていた。「Cafe Bohemia」のジャケットが最初の仕事でしたと話、会場は笑い包まれる^^
その後も共同で雑誌『THIS』、アルバム・ジャケットやツアー・パンフ等など、数多くのコラボレーションしている。
NYから帰ってきて新レーベルM's Factoryを立ち上げるにあたって、レコード会社の専属のアルバムアートワークチームではなく、自分で選んだひとりのアートデザイナーのが駿東さんだったとのこと。当時は、アルバムアートワークをレコード会社外から選んで採用するというのは珍しいことのようだった。そして、駿東さんにこの先10年は一緒に仕事をしようと言ったらしい。そして10年どころか長きにわたり我々ファンを大いに楽しませてくれたアートワークを披露してくれることになるのだ。
その駿東さんが、学生のころに出会って刺激を受けたアルバムジャケットや、昔はアートしてるものが多かったコンサートのチケットのコレクションなどを披露してくれた。
元春のアルバムジャケットの話では、幻の「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」のジャケットを見せてくれた。
元春の要望により元春がスフィンクスを頭から押さえつけるの写真だった。スフィンクスは専制君主の象徴。だが、依頼され駿東さんが発泡スチロールから作ったスフィンクスが元春が思い描いていたものとはちょっと違ったようで、結局お蔵入りのなった貴重なジャケット。
なかなか笑えました。
これはもちろん本当のジャケット↓
アルバム「SWEET16」では、もともとチェリーパイではなかったらしんだけど、いろいろありこの急遽このチェリーパイになった。
帝国ホテルのパティシエに頼んで作ってもらい撮影。CDケースに入ってる1ピースのパイの写真もかなりもめたとか。
そのときのやり取りが目に浮かんできそうな話しぶりだった。
また、2ヶ月おきにリリースされたシングル盤「ストレンジ・デイズ-奇妙な日々」「シーズン・イン・ザ・サン-夏草の誘い」「ワイルドハーツ-冒険者たち」のジャケットの撮影エピソードを駿東さんが語ってくれる。シングル盤とは言え、ケースを開きの形にしたりアートを大胆に盛り込んだり、元春自身をジャケットに登場させなかったりと、とそれまでとは違った試みが随所に見られる。
駿東さんのことも知らなかったし、アルバムアートワークの奥深さや、それを作成するまでの苦労や情熱が伝わってくるとても中身の濃いトークショーだった。
元春の影響もあるけれど、やっぱりあのレコードをジャケットから取り出し、レコード針を落とし、その音楽を聴きながらジャケットを楽しむということが好きだった。
今は音楽ダウンロードが主流になりつつある。が、その昔アルバムジャケットも一緒に楽しんでいたような、それに替わる新しい楽しみがもっとあればいいなと思う。
元春は本当にトークが上手だと感心してしまう。お笑い番組なんかにゲストで出るといじられるけど、NHK「
THE SONGWRITTERS」のような元春がリードする形のトーク番組をラジオのDJとは別に続けていったら面白いのに。でもやっぱりライブをいっぱい見たいから、そういう活動は程ほどくらいがちょうどよいけどね。